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No.21 担保物権について

第1巻第21号≪通巻21号≫
2003年 冬号
担保物権について
 抵当権(その2)
 抵当権の効力の及ぶ目的物の範囲
 抵当権の効力が目的物である抵当不動産(普通は土地・建物)自体に及ぶことは当然ですが、目的不動産に密接関連する付属物がある場合、これらの物にも抵当権の効力が及ぶか、また、抵当権設定後に目的不動産及び付属物に増減・変更があった場合、どのようになるのでしょうか。
 (1) 附加物
 土地に抵当権を設定した場合、抵当地上の建物(土地・建物は別個独立の不動産)を除くほか、附加して一体をなしたる物に抵当権の効力は及びます。
 ア 附合物
 経済的価値を損なうことなく分離することが困難な程度に付着した物
 例 土地の附合物 石垣、立木など
   建物の附合物 雨戸、戸扉
 附合物は原則(第三者が権原によって附合させた物を除く)として独立して存在するのではなく、附合した不動産に吸収され、附合の時期が抵当権設定前後であるかを問わず、附合物には原則として抵当権の効力が及びます。
 イ 従物
 不動産の所有者がその不動産の常用に供するため附属せしめた物で、この結合関係で効用を高められる物を主物、効用を助ける物を従物といいます。
 例 取外しの容易な庭石や石灯籠は土地の従物、畳・建具などは建物の従物です。
 この物理的な関係で抵当権設定時に存在していた従物には抵当権の効力は及びますが、抵当権設定後の従物に抵当権の効力が及ぶかについては、判例の態度は必ずしも明確ではないですが、設定後の従物にも抵当権を及ぼそうとする見解、判例もあります。
 ウ 従たる権利
 他人の土地上に第三者が建物を所有している場合に、敷地の利用権は建物の所有の効用を助ける関係にあります。このような権利を従たる権利として、従物と同じ取り扱いをするのが相当と解され、判例も建物の抵当権はその敷地利用権に及ぶことを認めていますし、建物について抵当権の登記をすれば、抵当権が敷地の利用権に及ぶことについても第三者に対抗できるとする(抵当権の実行により競落人は敷地利用権を取得)が、この利用権が地上権の場合は競落人は地上権を取得するが、賃借権の場合は、賃借権の譲渡は賃貸人の承諾もしくは裁判所の許可がなければ、競落人は賃貸人に賃借権の取得を対抗できないことになります。
 (2) 果実
 (イ) 天然果実
 物の経済的用途に従って収穫される産出物(田の中の稲、りんご畑のりんご等)を天然果実といいます。抵当権は目的物の使用収益権を抵当権設定者の手元に置くため、その使用収益の結果である天然果実に抵当権の効力は原則及びません。(抵当権が実行され差押えられた時以降は抵当権が及びます)
 (ロ) 法定果実
 物の使用対価で、賃料・貸金の利息等がこれにあたります。抵当権の効力については法定果実と同様でありますが、法定果実は民法371条の果実には含まれないため、抵当権の実行着手の前後を問わず、差押えを要件とする物上代位によって抵当権の効力を及ぼすことになります。
 (3) 分離物
 不動産に付着していた附合物や従物が抵当権設定後に分離された場合、それまで及んでいた抵当権の効力はどのようになるか。分離が目的物の通常の使用収益によって生じた場合には、抵当権の効力が及ばないのは当然ですが、分離によって抵当権の効力が侵害される、抵当山林の伐採の場合が問題となります。
 多数の学説は分離物が抵当不動産上にある場合は、登記によって公示されていると認められるので、抵当権による優先弁済的効力は主張できるが、分離物が抵当不動産上から搬出された場合はには第三者に対抗できなくなります。
 これは、動産の即時取得に対抗できないとか、分離することによって附加物といえなくなる等の理由によるものです。
 (4) 代位物
 抵当権は目的物の交換価値でもって優先弁済に充てる権利であるので、目的物が何らかの理由でその交換価値を具体化したときは、その具体化された交換価値(目的不動産の売却代金、賃料や目的物の滅失・毀損(不法行為)による損害賠償請求権、補償金請求権等)の上に効力がおよびます。これを抵当権の物上代位性といい、この物上代位を行使するには、「其払渡又ハ引渡シ前ニ差押」をする必要があります。また、この差押えは抵当権に基づくものですので別個に債務名義の必要はありません。
 次号は優先弁済権と競売について述べます。
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